■ 外構・造園

前庭は オープンな雑木の庭である。
園路や植栽地の縁取りには地元の自然石を用い、北国 岩手の風土になじむ庭とした。
紅葉の美しい樹や、木肌の表情を楽しめる樹を中心に配し、グランドカバーには 何種類かの宿根草を植えている。
植栽直後の樹木は やや小ぶりだが、手入れをして育てれば 数年後には成長して 落ち着いた木立になるだろう。

住宅の南と西は、思い切って広い芝生の庭とした。愛犬がのびのびできるよう、フェンスで囲っている。
青い芝が美しく、家族みんなで気持ち良く過ごせる庭になった。
■ 建築

▲ 家の中心にある薪ストーブ ▲ 食堂から居間を見る
写真左上 薪ストーブは 普段の生活に彩りを与えるとともに災害時のバックアップとして、建主の希望により設けた。家の中心に設けることで、居間からも食堂からも薪ストーブの炎を楽しめ、家全体が温まりやすい。
薪ストーブの横には階段下を利用して愛犬のためのペットコーナーを設けた。 ふだんは室内で自由に行動している愛犬だが、急な来客時には使うかもしれない。
床板は、すべてクルミ無垢材を用いた。やや黒味がかったあかい色で、存在感のある樹種である。一方、壁は薄いクリーム色の塗装クロスとし、白い天井とともにあっさりと仕上げた。壁クロスの塗装は、ホタテ貝殻を原料とした消臭効果の高い自然系塗料である。しっくいのような落ち着いた陰影が美しいだけでなく、気になるペットの臭いにも効果がある。
写真右上 奥が居間、手前が食堂である。食堂に面した対面キッチン、吹抜け上部の子供部屋、すべてがゆるやかにひとつの空間となるよう設計した。
暖房には温水を利用したパネル放熱器を併用している。イニシャルコストは 低くないが、穏やかで均質な温熱環境が得られる。
▲ 食堂と吹抜 ▲ 階段から食堂を見下ろす
食堂の上部と階段室を一体の大きな吹抜けとし、高窓を設けて採光と通風が得られるようにした。周囲を住宅に囲まれた立地条件では、高窓は周りの視線を気にせず採光を得るのに有効である。高窓から落ちる光が、食堂に柔らかく差し込む。
▲ 和室 床の間を見る ▲ 造り付本棚 ▲ 玄関
写真左上 六畳の和室には床の間と床脇を設け、 趣味の茶道を楽しめるしつらいとした。床柱、落とし掛け、床板には岩手のシウリザクラを用いた。 材は岩手県岩泉町のオーダーメイド家具製造販売
「岩泉純木家具」で保管していたものを入手し、建主立会いのもと、製材を行った。 床脇には、岩手のイタヤカエデを用いた。
写真中上 岩手のアカマツ集成材を用いた造り付本棚は、寝室とウォークインクロゼットの間仕切を兼用している。天井もアカマツ板貼りなので、やや木材を多用しているようだが、寝室にはベッドが入り、床がほとんど見えなくなるので、ちょうどよいバランスになる。
写真右上 玄関上がり框にもシウリザクラを用いた。天井はアカマツ板張とした。地元の材をふんだんに使えるのは、岩手の特徴である。
▲ 愛犬のためのシャワー
▲ ゲスト用洗面シャワールーム ▲ 洗面脱衣室
写真左上 愛犬は、ゴールデンレトリーバーの大型室内犬である。
冬の散歩帰りに使えるよう、玄関を入ってすぐの納戸に0.5坪程度の犬用シャワーを設けた。ペット用シャワーは屋外に設けることが多いが、北国では寒い雪の季節でも使えるように室内に設けるのが理想的である。
納戸は犬用シャワーと機械室を兼用している。設備機器の作動音が居室に漏れにくく、メンテナンス、更新しやすい。
写真中上 親戚の滞在用にゲストルームと洗面シャワールームを設けた。写真には写っていないが、トイレの前には0.5坪のシャワーユニットが位置する。オレンジ色の間仕切は、パネル放熱器である。水回りの雰囲気を明るくし、タオルをかけておけば温かく乾いた状態で使用できる。
写真右上 洗面カウンターは、センの一枚板を加工して作った。高窓からの採光で、明るい部屋になった。